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大衆文学を超えた鉄道文学 獅子文六の世界 [鉄道本]

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獅子文六全集 第九巻
装幀は、芹沢金圭介氏。
本としても観賞できる美しい全集だ。
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今回、この巻を取り上げたい訳は、
鉄道に関する作品が二編も収めらているからである。

一つ目は、箱根山。
もう一つは、七時間半である。

両者とも、先達達の好書評が数多くあるので、それに譲りたいが概要のみ触れると、箱根山は、1950年代のリゾート開発合戦である箱根山戦争を題材にした話だ。

当時、西武鉄道と小田急の争いがあり、そこに藤田観光も参戦して、一大開発戦争になった様だ。

もう一つの七時間半は、東海道本線特急全盛期、すなわち、つばめ、はとが活躍した時代の話である。車内外で繰り広げられる乗員、乗客、はたまた、沿線の人々も巻き込んだ喜劇だ。

どちらも世相と鉄道、鉄道会社と、そこに存在した人々の関係を、綿密な取材を元に描かれる。

何よりも、著者自身の鉄道に対する興味が、ひしひしと感じられる読み物だ。

個人的には、読書好き鉄道好きの双方が楽しめる名作と思う。
近年、七時間半は、文庫本が出て居る様なので、ぜひの一読をお勧めします。


七時間半 (ちくま文庫)

七時間半 (ちくま文庫)

  • 作者: 獅子 文六
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: 文庫


箱根山 (大衆文学館)

箱根山 (大衆文学館)

  • 作者: 獅子 文六
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/02/20
  • メディア: 文庫



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