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機関車・食堂車・寝台車 [鉄道本]

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機関車・食堂車・寝台車
阿川弘之・編 新潮社
本誌は、阿川氏が編んだ鉄道文学集だ。
文学集と言っても、エッセイや、紀行文的な
作品も収録されている。


その中でも、私が気になったのは、阿川氏自身の新幹線考と團伊玖磨氏の横須賀線である。


新幹線考で阿川氏は、"新幹線は、詩や物語も気のきいたエッセイも生まれにくいだろう"としながらも、後半で、"新幹線のあとにリニア・モーターカーのような怪物が登場を待っている。
新幹線自体がなつかしい乗り物になって、そこから詩やペーソスあるすぐれた随筆が生まれる時代が来ぬとも限らない。"
と言う。
新幹線が早すぎるから、それを題材にした名作ご生まれにくいとは、話の筋が違う気がするが、後半のリニアのくだりは納得できる。
そして、私たちは、今まさに、新幹線がペーソスの対象となろうとしている時代に生きている。ちょっと感慨深い。


また、團氏の横須賀線では、父親のくだりが引っかかった。それは、鉄道唱歌を丸暗記している、そして、自転車を後ろ向きで乗ることができる父を差して、"父親というものはいつまでも不気味なものだと恐れた。"何だか、わかる気もする。近いけど遠い存在の父親感がよく出ている文だと感じる。

鉄道と関連が薄い部分を取り上げてしまったが、その他にも、志賀直哉氏の網走まで、から、藤島茂氏のトイレット部長まで、なかなか濃い選定です。

軽く一読をお勧めします。




機関車・食堂車・寝台車 (エッセイ おとなの時間)

機関車・食堂車・寝台車 (エッセイ おとなの時間)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/03
  • メディア: 単行本



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