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時刻表昭和史 昭和62年 角川文庫刊 [鉄道本]

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この本は、古本屋で何気なく手にした本であるが、かなり思い入れのある一冊になった。


まず内容だが、時刻表の歴史本ではない。
氏の記憶を当時の時刻表で照合しながら描く、戦前、戦中の宮脇家を中心としたドキュメンタリーである。


特に印象深い言葉は、父の仕事に同行した出先で玉音放送を聴いた際の、"こんなときでも汽車が走るのか"である。戦中の裏寂れた心中の中の微かな希望を感じる。ともかく、現代人では、描けぬ鉄道紀行文であり、真のリアリティを感じる。


そして、驚いたことに解説を奥野健男先生が書いていており、しかも宮脇氏とは、小学校の同級生だったとのことだ。私は、大学で先生の授業を取っていたが、文学界の事象を同時並行的に語る授業スタイルに、毎回、魅了されていた。宮脇氏との関係を当時は知る由もなかったが、出来ることならば一度、伺いたかった。


また、文庫本の表紙のデザインは、私が敬愛するグラフィックデザイナーの杉浦康平氏のデザインだ。大胆な構図と、ポップな色使いでで印象的なデザインを実現している。


こんな具合に、かなり私的だが、様々事が重なり、個人的に印象深い一冊となった。
また、内容的にも当時の情景と宮脇少年の成長過程を、ありありと感じられる貴重なものなので、一読をお勧めします。



増補版 時刻表昭和史 (角川ソフィア文庫)

増補版 時刻表昭和史 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 宮脇 俊三
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
  • 発売日: 2015/04/25
  • メディア: 文庫


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