鉄道員は見た 難波とん平 梅田三吉著 新潮文庫 [鉄道本]
現役鉄道員が明かす鉄道の現場実録エッセイである。
元になった文章は、2000年4月から 2002年3月に鉄子の部屋というタイトルにて、配信されたメールマガジンの記事の再構成版である。
今とは違い、インターネットも、まだまだ、おおらかな時代だった。だからこそ、内部事情に近い事も、面白くコラム化できたのであろう。
そういった点では、当時のメルマガという文化は、素人とプロ関係なく、あらゆるものがテーマとなり面白い一面もあった。自分に合ったメルマガを如何に見つけるかが、効率的な情報収集の鍵でもあったのだ。
話は本の話題に戻るが、本のきっかけとなったメルマガは2007年を最後に更新されていない。
そして、現在その前の回で読むことができるのは、124号だ。
どうやら、この間にメルマガを廃刊とし、内容は書籍化文庫化した様だ。現在のブログ出版の先駆けとも言える実に鮮やかな動きだ。(たまたまだと思うが。。)
さて、内容はと言うと、一つ一つの文章量はメルマガを母体としているためか、少し物足りない。内容は、それなりに楽しめる。特に、駅員、乗務員の日常の素顔を垣間見ることができる点は、おもしろい。
例えば、運転士さんは、"トイレ"をどうするか?や、お客さ"ん"から、お客さ"ま"への定着に対する鉄道会社の苦労など、あぁそうかという感じで納得してしまう。
原書である「鉄道員ホントの話」が出版より14年あまり。知識的には古さは否めないが、安全運行に関わる鉄道員の人間味については、変わることはないのだろうから、まだまだ楽しめる一冊だと思う。
ところで、この著者ら、自分たちは出世しない様な口ぶりだが、今はどうなんだろうか?
ちなみに、背後の本はトイレット部長である。
この本もまた、人気を博した鉄道関係者のエッセイであるので、
折を見て紹介したいと思う。
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