星晃が手がけた国鉄時代黄金時代の車両たち 福原俊一著 KOTSUライブラリイ [鉄道本]
星晃氏、誰ぞや?と思われる方もいるかもしれないが、氏は、国鉄の副技師長まで登り詰めた車両設計の専門家である。
その業績は数多あるものの、鉄道ファンにとって一番馴染み深いのは、"旅客車"という言葉だろう。本書の冒頭では、"客車・電車・
ディーゼル動車を一括した用語"として、氏が創作した言葉と紹介されている。それが、今や、日本を代表する鉄道会社の名称となっているのだ。
肝心の本書の内容だが、国鉄時代に星氏が携わった車両について氏との対話からの小ストーリーを挟みつつ、史実に基づき紹介するという形で構成されている。
80系から年代順に並べられた車種だが、中距離列車が好きな私は153系辺りの話から盛り上がってくる。
貫通扉は非貫通編成の車掌二名体制を改善するためだったことや、貫通扉を塗り分けないのは、メンテナンス時の作業性を指摘されての事など、ややもすると時代の流れに埋もれてしまいそうな話が取り上げられる。
本書では、こうした星氏の設計マインドを、あくまでも対話の結果からを取り上げられているため著者の興味対象に依存している。また、その内容も、体系化されているわけではなく、エッセイ的に取り上げられているのみである。私は、少しその点に物足りなさを感じてしまった。
という事で、現在、星晃氏著の"回想の旅客車"を手にしたところだ。こちらについても読後に書感を認めたい。
それにしても本書は、星晃入門としては好著であることは変わりない。
星晃が手がけた国鉄黄金時代の車両たち (KOTSUライブラリ)
- 作者: 福原 俊一
- 出版社/メーカー: 交通新聞社
- 発売日: 2014/11/01
- メディア: 単行本
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