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カプセル駅舎の夢の跡 [JITOZU_施設]

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参照MAP

国包駅と題されたこの写真は、三木鉄道の、くにかね駅跡を写したものである。
三木鉄道は、播州鉄道、播丹鉄道を経て戦時買収により国鉄線となる。その後、1984年に第三セクターとして営業。2008年に廃止された路線だ。その過程は、まさに日本の鉄道史の縮図である。


さて、Wikipedia
によると、この国包駅の駅舎は”無人駅における簡易な駅舎の設置の嚆矢となった”駅だそうだ。
そのような駅舎のことを、カプセル駅舎と呼ぶそうだ。それは、どのようなものか?


轍のあった道というサイトで、古津駅を例に軽く紹介されている。
それによると、もっともわかりやすい特徴は、窓やドアのサッシにRが付いているという点の様だが、これが見分けの特徴なのか、はっきりとしたことは、分からなかった。


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ただ、上図の鉄道建築協会発刊の国鉄建築のあゆみIIには、国包駅は、肥後高田駅や小江駅とともに”不燃性で耐久性のある(中略)現代感覚にデザインされたカプセルタイプの代表例であり”
とある。


という事で、当駅がカプセルであることは間違えなさそうだ。因みに小江駅は、当駅に似た駅舎だが肥後高田は直線的な構成だ。
昭和の50年代に隆盛を極めただろう、カプセル駅舎もかなり老朽化が進んでいるだろうし、この国包駅の駅舎も取り壊されてしまった。
写真の作者は、それを懐かしんでこの写真を撮ったのかも知れない。





国鉄建築のあゆみ〈2〉1971~1980 (1981年)

国鉄建築のあゆみ〈2〉1971~1980 (1981年)

  • 作者: 鉄道建築協会
  • 出版社/メーカー: 鉄道建築協会
  • 発売日: 1981/05
  • メディア: -
国鉄の建築〈1960年〉 (1961年)

国鉄の建築〈1960年〉 (1961年)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 有明書房
  • 発売日: 1961
  • メディア: -


タグ:駅舎 国鉄 廃線
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鉄道地図の謎から歴史を読む方法 野村正樹著 KAWADE夢新書 [鉄道本]

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この本のタイトルは鉄道地図だが、本の内容は、特に地形的な地図に言及しているわけではない。
むしろ、路線図から日本の鉄道の歴史を総覧した内容だ。
その中でも、戦前、戦中、戦後における政治と鉄道の関係について、短文ながら緻密に鉄道の歴史が
語られる。そうした意味で、歴史をまとめ読みするに適した一冊だ。


以前、小ブログで取り上げた、”やさしい鉄道法規”や、”井上勝: 職掌は唯クロカネの道作に候”が、歴史の中である分野や人物を深く
掘り下げた内容であるのに対し、この本は、それを横通しで繋ぐ役割があるように思う。

例えば、2002年に、鉄道事業法により鉄道の開廃業が届け出制になったが、鉄道法規から見ると
事業者と担当省の負担軽減であるが、本書では、小泉政権化の規制緩和の流れの中で施行された
ものであり、結果として、”地元の合意がなくても、運輸大臣に「退出届」を出せば良くなった”と
本制度を、廃線を増やした”陰の主役”と皮肉る。


事実、”需給調整規制廃止前後における鉄軌道の廃止状況の変化に関する分析”
によれば、2001年の時点で一気に廃止路線が増えている。
本書の端々で、こうした仮説めいた発言が見られるが、著者は単にファンの立場から感情的に
発言しているのではなく、綿密に裏付けを取った上でのことであることが分かる。


おわりにの章で著者は、「日本の近現代を振り返る際の新しい手掛りとしての鉄道」を知るきっかけ
になって欲しいと記している。大げさではあるが、私の個人としては、本書から鉄道の廃止を嘆く
だけでなく、その地域に鉄道とともに確かに存在した文化を振り返ることも大切だと再認識させられた。それだけで一読の価値があったと思う。



鉄道地図の謎から歴史を読む方法 (KAWADE夢新書)

鉄道地図の謎から歴史を読む方法 (KAWADE夢新書)

  • 作者: 野村 正樹
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/09/23
  • メディア: 新書


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お茶の水駅の温故知新 [JITOZU_施設]

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参照MAP


この写真は、聖橋から神田川橋梁、そして、松住町架道橋を写したものと推測される。


この辺りは一帯は東京メトロの神田川橋梁もあり、橋を中心にしたダイナミックな景観を見ることができる。


この辺りと言えば、お茶の水駅周辺の地形は独特だ。神保町からお茶の水駅まで、なだらかに登っていくのだが、そこから一気に神田川で落ち込む。


地図上でみると、神田川は江戸城があった皇居を中心に、外周を囲むように出来ている。明らかに人工的なこの川は、惣構えと呼ばれる防御システムだ。
もともとは、台地だったこの場所に、川を開削することで崖を作り防御した。


その後、まず甲武鉄道(現•中央本線)のお茶の水駅が作られた。その際、景観、道路交通への配慮が求められ、現在の川の縁を縫うように敷設された。そこに、総武線が接続した訳だが、大きな道路に加え彫り込まれた川をまた都合上、高架を伴い橋が連なる現在の形になった。


何とも所以の多いところだが、駅改良工事も進んでおり、また新しい姿を見せてくれるのだろうか?


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やさしい鉄道法規 和久田康雄著 交通研究協会 [鉄道本]

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この本を読むと、鉄道ファンとして、一度は聞いたことの多くは、法律にも基づいた決まりごとが多いことが分かる。


例えば、運賃と料金がある。運賃は、認可が必要なのは、運賃と特別急行料金、急行料金、座席指定料金であり、その他のものについては、届出制、貨物については自由と決められるそうだ。認可が必要な項目は独占から利用者を守るために設定されている。
という訳で、寝台列車の場合、乗車券、特急券、寝台料金と券が三種類に別れているのだろう。


また、軌道についてほ、軌道法とい法律がある。この中には、いわゆる路面電車の他、モノレールや新交通システムも含まれる。
これらは、その敷設は道路上に行うなど都市計画レベルでの検討が必要であることから、軌道法の管轄に建設省も絡んでいることに起因するようだ。


もっとも現在では、運輸省、建設省もなく国土交通省になっているので、こういった経緯は、過去の歴史となっているがそれを知るのもまた面白い。


そして、鉄道法規で繰り返されることが、鉄道は公益的なものであると言うことだ。
その多くは利用者の立場になって立法されている。


最近、方々で鉄道を私有物と見間違っているファンの方が見受けられるが、鉄道とは、元来、公共物なのだと改めて言いたい。そんなことを感じざる得ない本であった。


ちなみに、本書に掲載された情報は、刊行年の1998年時点のものです。




やさしい鉄道の法規―JRと私鉄の実例 (交通ブックス)

やさしい鉄道の法規―JRと私鉄の実例 (交通ブックス)

  • 作者: 和久田 康雄
  • 出版社/メーカー: 交通研究協会
  • 発売日: 1999/04/01
  • メディア: 単行本


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デラックスロマンスカーのインパクト [JITOZU_車両]

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参照MAP

写真は、東武のデラックスロマンスカーこと1720系の保存車両だ。
しかも線路から遠く外れたところにて撮影された様である。
その正体は....埼玉県の岩槻城址公園にある、保存車両であった。
とても大切にされている様で、近年、修繕も行われたとのこと。


本車両の第一編成は1960年に落成した。
この頃は、高度成長期の真っ只中にあり、鉄道各社はモータリーゼーションによる鉄道の衰退を
予見し競合する他社との差別化も模索していた。


大手私鉄各社は、単なる輸送手段からの脱却を目指して一歩進んだサービスを展開していった。
鉄道会社にとって車両は、それを体現できる大きな要素である。
そして、このころの国民総所得も、20%の伸びであったり、利用者の暮らしも豊かになりつつあった。


これらの影響もあり、この世代の車両たちは移動という行為に車両を以って価値を上げるべく
どれも特徴的だ。例えば、小田急初代ロマンスカーSE、名鉄7000系パノラマカー、
そして近鉄ビスタカーなどである。いずれも今も形を変え生き残る特急たちだ。


こんな時代背景の中デラックスロマンスカーは生まれたのである。
このデラックスロマンスカーの保存車両は、東武博物館でも見ることができる。
現役当時は、じっくり見ることが出来なかったが、改めて見ると、151系で完成されてしまった
特急の形状を、さらに誇張することで特徴を出そうとする工夫を垣間見る事が出来る。


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例えばライト周りは、151系のライトを上下方向に伸ばし、50年代のキャデラックのテールフィンの様な形を採用。このあたりは、国鉄車との差別化はもちろん、日光を利用する外国人を意識しての事だろうか?だとしても、登場年からすると、ちょっとクラシックではないだろうか?


そして、シンボルマーク。こちらも、立体的に縦方向へ引き延ばす事で特徴を出している。
これらが誇張された表現が合間って同車が醸し出す印象は、かなり独特なもので一度見ると忘れられないほどのインパクトがある。
もし、こうした印象を受ける人々が多いのであれば、東武鉄道の狙い通りなのかも知れない。


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ケービンの跡を歩く 金城功著 おきなわ文庫 [鉄道本]

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最近、個人的に軽便鉄道が気になっている。
そんな中、色々調べているうちに沖縄に軽便鉄道があったことを知り、本書を手にした。


本書は題名通り、沖縄の県営鉄道跡を歩くという内容だ。島の人々は、同鉄道を親しみを込めてケービンと呼んでいた。


本書の特筆すべき点は、風景描写に留まらず、道すがら出会った人々に積極的に声お掛けながら歩み進めて行く点だ。当時のケービンの姿は、そうした人たちの当時の記憶から、イキイキと蘇ってくる。


特に本書が執筆された、1997年は、戦争で路線が荒廃する前の姿を知っている人たちが、まだ市井に多くあり、線路の線形や日々の姿など貴重な情報に巡り合う確率も高かった様である。


これについて著者は、あとがきで"歩きながら人々に声をかけた。戦前から住んでおられる地元の人か、鉄道のことを知っている方かなと、その人の年齢などを頭で計算しながら声をかけた。"と述べている。


人々の話は本書の中でも素のままで取り上げられており、とても興味深い。
例えば、坂道で失速しそうな時は、機関士が燃え切らない石炭を掻き出し、次から次へと投炭をしていたこと、灰が火種となりたまに火災が起きていたことなど、数値的な記録資料だけでは知ることが難しい話題が掲載されている。


特に機関車の能力が存分に出せなかった点について、別本、図説 沖縄の鉄道 では、"沖縄の水は硬水で機関車の管にカルシウムが付着しやすい"、石炭は"八重山は悪質でカスが多い"と記載されており、運転の苦労を運営側からも知ることができる。因みに、この本は、沖縄の鉄道を史実や資料に沿って、紹介しており読み応えがある。またの機会に紹介したい。


2015年には、県営鉄道設立100周年事業として与那原駅舎軽便資料館が開館した他、ゆいレール展示館にも軽便関連の展示があると言う。


脈々と熱い活動が続いている沖縄県営鉄道。今後も目が離せない状況だと思う。


図説・沖縄の鉄道

図説・沖縄の鉄道

  • 作者: 加田 芳英
  • 出版社/メーカー: ボーダーインク
  • 発売日: 2003/08
  • メディア: 単行本


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新機能!時間軸スライダーのご案内 [更新情報]

明けましておめでとうございます。
本年も、JITOZUをよろしくお願い致します。

さて今回は、新機能についてのお知らせです。既に、昨年末にリリースしておりましたが、改めてのご紹介です。新機能とは、画面右上のスライダーでございます。

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こちらは、国土交通省が配布している、鉄道時系列というGISデータを活用した路線表示機能です。なんとこのスライダー、"名付けて時間時期スライダー"を動かすことで、データに含まれる各年代の路線データを表示できます。

例えばの楽しみ方ですが、下図をご覧ください。左上は、地図上の黄色い丸の地点に保存されている東武伊香保軌道線のデハ27です。

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この地点起点に年代を変えていくと、1960年には線が消えています。
きたかんナビによれば、1956年には廃止されていました。

そして、スライダーを1985年に移すと右方に1982年開業の上越新幹線が現れます。
こんな風に、時代とともに変化を写真を巡る時間旅行としてお楽しみ頂けると幸いです。
また、本機能の実装によりサイトの動きが鈍いことがありますが、開発中が故、御了承ください。徐々に改善していく所存です。

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「坊っちゃん」はなぜ市電の技術者になったか―日本文学の中の鉄道をめぐる8つの謎 小池滋著 早川書房 [鉄道本]

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この本では、日本文学に登場する鉄道に関わる記述を取り上げ、考証を行うというスタイルで書かれている。


著者は英文学の研究者だが、この本では研究者的視点に想像力を交え、割りとくだけた文調で書かれている。それが、氏の仮説を程よい距離感で受け入れらる空気を作っている。


肝心の内容だが、先ずは、本のタイトルにもなっている"坊ちゃん"の松山を離れた、その後についての論考だ。


かいつまんで言うと、漱石先生の坊ちゃんでは、"その後ある人の周旋で街鉄の技手になった。月給は二十五円で、家賃は六円だ。"
と記載されているが、著者は、なぜ技手になったのか?を作家サイド事情から探っている。
それは、漱石先生が一番利用した街鉄、それを、当時、"文明開化の先端を行く市内電車"は、"物理学校出の天才の就職先"としてふさわしいものとして選んだというのが著者の論考である。


このような具合で8編の作品を取り上げている。


その中で私が気になった文章は、著者をして通勤電車小説の元祖と言わしめる田山花袋の少女病に対する論考、"電車は東京市の交通をどのように一変ささたか"と、永井荷風のぼく東綺譚に対する論考、"どうして玉ノ井駅は二つもあったのか"だ。


前者は、田山花袋の他作品で使われた"郊外の人"という言葉から、作家の時代を先行く先見性に注目し、その視点の延長に登場間もない通勤電車を題材にした少女病があるという。


後者は、昔あった京成と東武の玉ノ井について、荷風の趣向や地域性を交え、その歴史と作品に用いられるメタファーを、さりげなく解説してある。


何れにしても、本作では、作家の視点が大事にされており、そこからの仮説立てが面白い。
鉄道好きであれば、文学に登場する鉄道に、それはどうかな?といちいちツッコミを入れた経験は、一度ならずあるだろう。この本は、そんなツッコミをわざわざ調べてくれた痒いところに手が届いた本なのかもしれない。



「坊っちゃん」はなぜ市電の技術者になったか―日本文学の中の鉄道をめぐる8つの謎

「坊っちゃん」はなぜ市電の技術者になったか―日本文学の中の鉄道をめぐる8つの謎

  • 作者: 小池 滋
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2001/10
  • メディア: 単行本


タグ:小池滋 文学
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駅名標はおもしろい [JITOZU_施設]

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写真は、ひたちなか海浜鉄道の阿字ヶ浦駅、駅名標だ。なんとも、個性的な駅名標だが、このようなものがあるとは知らなかった。


調べてみると、小佐原孝幸さんというデザイナーが、同鉄道の活性化の一環としてデザインしたものだそう。コンセプトは見ての通りの地域の名産、名勝を表意文字の図案として取り入れることで、
アピールするというものだ。


氏曰く


デザインの力が社会に対してできることはまだまだたくさんあります。(中略)地域の魅力は地元の人にとっては「当たり前」で、気づいていないことも多く、外部の人間のほうが魅力に気づくということもあります。そう考えると、ひたちなか市に縁もゆかりもない自分が関わった事にも意味があったのかなと思います。とのこと。

引用元 Creator' Station より


実際、写真の駅名標からも当地の名物を読み取ることができるし、2015年のGマーク受賞など、メディアへの露出により、同鉄道の知名度アップへも貢献しているだろう。


私は、どちらかと言うと乗り鉄だが、駅名標は、乗り鉄にとって車両とともに路線の変化を感じる大切な情報だ。見慣れぬ駅名標からは遠くに来たと実感し、お馴染みのそれを目にすると安心感が湧いてくる。ともあれ、ついつい見てしまうのが、この駅名標だ。


以前は、それを利用した看板もよく見られた。個人的に頭をよぎるのは、縦書きのホーロー板の下の、"本場の味 サッポロビール"の看板である。これを見ると、あぁ、北海道に来たのだと実感できる。

苫小牧にて、撮影著者。
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それから、最近気になっているのが、日豊本線の宇佐駅の駅名標だ。
宇佐は、ローマ字表記でUSA。それを利用したアメリカ国旗を模した名勝案内図。しかも、積極的に宣伝しないところが、感じ入る。


参考 ねとらぼの記事

ひたちなか海浜鉄道の様に、分かりやすいのも良いけど、個人的には宇佐駅の様に、ちょと仕込んである方が好みというのは、ネタを喜ぶ鉄道好きの性であろうか?



タグ:駅名標
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汽車旅12ヶ月 宮脇俊三著 潮出版社 [鉄道本]

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この本が書かれた当時、著者は、国鉄線完乗、最長片道切符の旅制覇し、"つまり、私の遊びの対象が失われた"状態であった。


しかし、本の執筆にあたり各線の乗り直しを行うことで、"実に数多くの要因によって、それぞれの線区の印象がちがうこと"に、改めて気がついた。


そして、"四季折り折り七色に装いをかえる多彩な国土を恐れぬ、不遜な感懐であった"
と自らを諭し、四季折々の鉄道旅の風情を取り上げたのがこの本だ。


昭和54年に発刊した当本の内容は、現在からすると、当然のごとく古い。しかし、昭和生まれの私からすれば、著者の観察眼と文章のリズムから当時の様子が生き生きと伝わってくる。また、ページの端々に話題に関する路線図が掲載されていて、現代との比較に事欠かない。当時は、清水港線など盲腸線がまだまだ健在で、羨ましくも、楽しくも読める。


文書表現は、ちょっと諧謔的な表現もあるが、これは百間先生からの鉄道紀行文の伝統と思えば良いのではなかろうか。


そんな中、個人的に文中の著者の言葉に目から鱗ともいうべきものがあった。


"移動のための手段である限り交通機関は「文明」でしかない。それに対し、手段を目的に置き換えることによって汽車や船が「文化」へと昇華してくる"


鉄道趣味は文化である。私たちは文化の担い手である。おこがましくもそう考えれば、散財し時間も浪費をして家人に目をつけられようとも、少しは救われるのではないだろうか。


汽車旅12カ月 (河出文庫)

汽車旅12カ月 (河出文庫)

  • 作者: 宮脇 俊三
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2010/01/06
  • メディア: 文庫


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